16冊目:時間の空間化批判

・物理学者と哲学者が「時間」について討論する本。お互いの論文にコメントしあう形で進む。

 

・かなり楽しいディスコミュニケーションの本だった。お互い相手が頭が良いことはわかっていて、自分が相手の分野に門外漢なこともわかっているためリスペクトしあっていることが伝わるが、最後の一線を絶対に譲ろうとしないため絶対に話が合わない(百合)。

 

・「私の話はわかってもらえないようだし、彼らの話はわからない。」

 

・1つ目の感想としては、物理学はなにかを言う際に「検証」を基礎にしているのに対して、哲学者は基礎ではなくて1層目からスタートして基礎を作っていく、みたいなすれ違いがあるから話が合わないんだろうなという感じ。何かを主張したいときに、いつまでも土台がしっかりしているかを確認したいのが物理学者なのに、哲学者は土台の話をそこそこに出来上がったものの話をしたいからスピード感があってない。

 

・「科学者は研究で得られた解答が部分的なものであっても小さな満足として、前進することを好む。哲学者にとっては自分が抱いた疑問が一番大事なので、部分的な解答を言われても妥協を許さず、何度でも原点の疑問に立ち返る。下手に前進して間違った方向に行ったりしてはいけない、それこそ哲学が戒めていることだからだ。」すごい。よく分析してる。