19冊目:遅いインターネット

・「ゼロ年代の想像力」とかで有名な宇野常寛が書いた本。2020/02/20初版なのにオリンピックの話が完全に上滑りするところから始まっていてちょっと面白い。この本が悪いわけではないが、この手の内容を書いたすぐあとに例の感染症が来たことは運が悪そう。

 

・インターネットのあの辺りが持ってる価値観をうまく言語化してあるなーという印象(逆か)。「自由と民主主義は両立しない」とか、Anywhereな(壁のない世界に強く適応した)人とSomewhere(弱くしか適応できなかった)な人の立場の違い、決定的な価値観のずれとか。

 

・オンラインサロンとかの解決策が良い/悪いはともかく、この人たちがえらいなーと思うのはそれでも頑張って誰かとコミュニケーションをとろうとしているところだと思った。虹ヶ咲スクールアイドル同好会(ラブライブ!)でも思ったが、あなたと私(AnywhereとSomewhere、一人だけのアイドルと皆のためのアイドル、好きと嫌い……)が決定的に相いれないことが前提にあって、”それでも”どうにか妥協点を探そうと考えられるのは本当にすごい。その前提ならもう離れ離れになる、という選択肢もあっていいはずなのに。

 

・やはり古野まほろ

 

・あなたと私が決定的に相いれないことを理解したうえで、それでも手をつなごうと頑張ることこそがコミュニケーションの本質ならば、この回答は完璧ではないことを理解したうえでそれでも頑張ってついていこうとすることこそが進化の本質だ、みたいな話でしょう。

 

・「正しいとは何かを考え続けることだ。例えいつか答えにたどり着いたとしても、そこで考えるのを止めないことだ」(正崎善)